普通トラックには、油圧・空圧を複合的に使用した「エアオーバハイドロリック車」と空圧のみを使用した「フルエアブレーキ車」があります。ウェッジブレーキチャンバは「フルエアブレーキ車」に使用されており、ブレーキを軽く踏むだけで強力な制動力を得る事ができ、構造もシンプルなため制動効率にも優れています。
また、従来のSカム方式に比べると車両に取り付く部品点数を減らす事が出来るので車両重量の軽減にも寄与しています。
現在、国内で製造されるほとんどの大型トラックはフルエアブレーキシステムを採用しており、各車輪にウェッジブレーキチャンバが装着されています。
通常走行時は、パーキングブレーキバルブからの圧縮空気により、ピギーバック内のパワースブリンブが圧縮され、駐車ブレーキが解除されている状態です。
フットブレーキを踏むと、圧縮空気がサービスチャンバ内に供給され、プッシュロットが楔を押し込む事で、ブレーキライニングを押し広げブレーキが作動します。
パーキングブレーキバルブのレバーを駐車位置にすると、ピギーバックから圧縮空気が抜け、強力なスプリング(荷重1トン)の力で、プッシュロットが楔を押し込みブレーキが作動します。
ピギーバックにはゴム製の部品が組み込まれており、それが劣化・破損してしまうと圧縮空気が一気に抜けパワースプリングの力で非常ブレーキがかかってしまいます。 高速走行時などは大変危険です。
内部の樹脂製ガイドが磨耗してシリンダー内部に変磨耗や傷がつくと、そこにガイドヘッドが引っ掛かりブレーキ不良の原因となります。
ウェッジブレーキチャンバ内の部品が磨耗・劣化しエア漏れを起こすと、最終的にはピギーバック内の圧縮空気がなくなり、非常ブレーキがかかってしまい、走行できなくなります。
樹脂製部品が磨耗・劣化し、圧縮空気がサービスチャンバ内に洩れ込むと、ブレーキを踏んだ状態を維持し走行してしまう事があります。これによってライニングの早期摩耗や燃費低下、最悪の場合は車両火災を起こす可能性があります。
大きなトラブルや事故は未然に防ぐことが大切です。ウェッジブレーキチャンバを構成している、「ピギーバックキット」の交換整備は3年ごとに、「サービスキット」の交換整備は2年ごとに実施しましょう。